学術講演会「大阪中心部における地震と浸水被害を避ける ~医薬界を中心とした被害予防の試みとBCM~」
2024.10.06
10月5日(土)14時30分~16時 國民会館12F武藤記念ホール
大阪中心部における地震と浸水被害を避ける
~医薬界を中心とした被害予防の試みとBCM~
講師 関西大学特任教授 社会安全学部社会安全センター長
河田惠昭先生
大阪の街は、上町台地以外は淀川の河口の堆積地に街づくりがされています。
南海トラフや上町断層を震源とする地震が起きれば建物やインフラも崩壊し、津波が発生すれば浸水被害が起きますが、今回の講演ではそれらを踏まえたうえで私たちが知っておくべき知識を増やしていただきました。
十分に情報が提供されていますが、阪神淡路大震災では長周期振動が12秒継続しました。南海トラフ地震では1分以上、M9ならば3分以上継続するそうです。
発災時の府下の断水は94%以上の世帯、復旧は想定不可。停電は府下30%の世帯、松屋町筋から西は70㎝地盤沈下、中之島、梅田付近では2Mの浸水被害があるそうです。
また津波に限らず、高潮や豪雨災害時は堆積地の地質的に湧水が発生して上町台地の東側でも浸水被害があり、また河川の堤防がしっかりしているため河川からの排水は期待できず、下水からの排水となり、3日ほどを要するそうです。
しかし大阪は寝屋川流域のかつての浸水被害の対策のため、巨大な下水管を設置したため3日程度ですみますが、東京では下水道や河川の状況から、2週間ほどを要するそうです。
偶然とはいえ興味深い話になります。
うめきたグラングリーン。実は3Mの盛り土がされています。
防災の視点から3Mの盛り土を訴えて実現されたのは河田先生ですが、あの場所にビルやスタジアムでなく緑を!と提唱されたのが、2001年から16年間にわたり関西経済同友会でまちづくりの委員長をされておられた篠崎由紀子先生。河田先生の出身校の1年後輩です。
当初は、「緑が利益を生むのか」、「市内の一等地に公園を造るのは経済的な無駄だ」と批判されたそうですが、今は津波が到達しても安全な場所で、美しく安全に成り立っています。